【保育を改めて考えよう】

 【保育を改めて考えよう】

 

 こんにちは。

 年度末、新学期は色々と書類に追われ、そんなこんなで久々の投稿となってしまいました。

 改めまして、ご卒園おめでとうございました。年長さんと一年間かかわらせていただいて、子どもたちのたくさんの姿を見させていただきました。愛隣幼稚園でたくさん遊んで、いっぱい成長した子どもたち、小学校に行っても色々な経験をして、楽しく、もっともっと成長していってほしいです。

 

 今回は子どもたちとのかかわりを通して、私自身が学んだことを踏まえ、改めて保育について考えてみたいと思います。

 

 保育という言葉は、『保護』と『教育』が一緒になった言葉と言われています。『保護』とは「生命の保持」と「情緒の安定」をさしてきました。言い換えるならば、ご飯を食べて、身体を動かして、休息をとって、危険なことを判断しながら生活することと、安心安全な環境のもと安定した気持ちで過ごすことと言えるかと思います。

 一方、教育ですが、一般的に教育というと知識や技能を「教える」-「教えられる」関係を思い浮かべると思いますが、もともと教育は【引き出す】という言葉が語源とされています。つまり、子どもがもともともっている力を引き出すことが教育になります。

 そのため、保育における教育は、子どもがお友だちや園の環境、行事や地域の人たち、そして保育者とかかわりあって自分の力を引き出していく営みとされています。その中で、人とのかかわり方や道具の使い方、文字や言葉、数字の獲得といった、「○○ができるようになった」といった目に見えやすい成長もしていきます。

 

 ただ、子どもたちが成長するためには大人の手助けも必要なことがあります。物事に取り組めるだけの力があるのにやり方が上手くなくて上手にできなかったり、興味が向かなくてやめてしまったりすることもあるので、大人がきっかけやアドバイス、見本を見せてあげることでぐっと取り組んで、たくさんのことを学んでいくことができるようにもなっていきます。

 

 昨年の子どもたちでいうと、泥団子作りなんかは顕著でしたね。皆さんもご存じの通り、愛隣幼稚園の子どもたちはさら粉作りが大好きです。なのでさら粉を作ることは大得意です。また、ごっこ遊びや山づくり、型抜きなどで泥の性質は良く知っています。この二つの力が合わさると、ピカピカの泥団子が作れるようになっていきます。

 年が明けてから多くの子どもたちが泥団子を作ることに夢中になっていましたが、それも話を聞くと、ある先生と一緒に泥団子を作り始めた子どもたちから派生したようです。多くの子が泥団子を作る力を秘めていたけれども、さら粉をどう生かすか、泥遊びをどう発展させていくか、そのきっかけがあるとぐっとその活動にのめり込んで成長していけるのです。

 

 ちなみに、泥団子が一体何の成長になるのかと感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、それをお話すると長くなので、ロバート・フルガムの『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』とか加用文男さんの本なんかを読んでいただくと良いかもしれません。

 

 もちろん技術や知識も大事ですが、お友達とどうかかわるかとか、相手の子にどういった感情をもったらいいのかとか、一つのことをやり遂げる力とか人生においては色々な力が必要になります。これらは、他者から言葉で教えられるものではありませんね。実際にそうした経験を子どもたちが繰り返していく中で、少しずつ形を整えていくものになります。友達とトラブルになったり、仲直りしたり、そうした友達が励みになって頑張る力に変えたり、幼稚園はそうした経験をする場所でもあり、それも教育の一環と言えるのです。

 

 そうやって成長した子どもたちは、卒園するときには入園した時とは全く違った姿を見せてくれることでしょう。

 新年度が始まります。皆さんも一年前のお子さんのお写真なんかを見ていただいて、この一年でお子さんがどんな成長をされたのか、そしてこれからの一年、どんな成長を見せてくれるのか、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

 

 

 愛隣幼稚園 浅井広