【勝手にお悩み相談!!】

 【勝手にお悩み相談!!】

 

 皆さん、こんにちは。

 今年もいよいよ残り僅かとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 振り返れば、今年も色々なことがありましたね。たくさんありすぎて、オリンピックが今年だったとか思うくらいですが、子どもたちもそれだけ大きくなってくれたことでしょう。

 さて、2学期の面談も終わり、年長さんのご家庭の方には就学相談に関してもご意見をいただきました。今回は、子どもたちのこれまでの成長や今の成長を踏まえ、面談や就学相談で聞こえてきたご家庭の方のお悩みやご心配に、勝手にいくつかお答えしていきたいと思います。

 

〇お家での姿と幼稚園の姿が違って、驚いています

 幼稚園ではすごくしっかりしているのに、お家だととっても甘えん坊だったり、逆にお家の方には甘える様子が見られなかったり、お気に入りの人形やタオルを手放せなかったり、指しゃぶりや爪かみをしている等、子どもたちにもいくつもの姿があります。

 まず、私が思うに、子どもたちはどの子も幼稚園でも頑張っています。頑張っているというのは無理をしているというわけではなく、他の子どもたちの目を気にしたり、「今はこうした方がいいよね」と思って実行しているということです。言い換えれば、社会性が身についてきているということなので、よい成長をしているとも言えます。

 でも、お家に帰れば甘えたい、人の目を気にしないで過ごしたい気持ちが出てくるのです。それはご家庭の方には、その姿を見せてもいいという安心感が基盤としてあるためであり、ご家庭の方にはどのような姿を見せても見捨てられないという信頼感があるからだと思います。それは喜ばしいことですね。

 そのため、甘えてくる子には、甘えたい気持ちを受け止めてあげたら良いと思います。大人だって仕事で疲れたら夕飯は楽をしようとか、お正月に帰省したらのんびりしようと思いますよね。毎日のことかもしれませんので、ご家庭の方からしたら「また?」と思うかもしれませんが、心の中で「お疲れ様」と思って受け止めてあげてくださると良いのではないでしょうか。その分、子どもたちは幼稚園でちゃんと頑張ってますよ。

 逆に、お家の方には甘える様子をあまり見せないお子さんもいらっしゃいます。いろいろなご家庭がありますので一概には言えませんが、よく聞く話としては、お父さんお母さんが好きだからこそ甘えられないというものです。例えば、下に小さいお子さんがいて、自分は甘えてはいけない、お父さんお母さんに迷惑をかけてはいけないと思っている子ほど、甘えるような姿が少ないと聞きます。甘えるのがちょっぴり下手なのかもしれませんね、でも、その子はとっても優しくていい子だからこそ、できないのです。だから大人から寄り添ってあげたらよいではないでしょうか。「ありがとう、甘えてもいいんだよ」と。

 また、お気に入りのタオルや人形を手放せないとか、指しゃぶりや爪かみのような行動を見せる子もいます。そうした子はその物を持っていたり、行動をしたりすることで安定を図っているので、無理にやめさそうとすることはお勧めできません。そうした子は幼稚園や普段の生活で特に頑張っている子かもしれませんね。その子の話を聞いてあげたり、頑張りを認めてあげてください。時間がかかることもありますが、気持ちが落ち着けばそのような行動もじきに落ち着いてくると思われます。

 

〇数字がわからない、ひらがながかけないんですが、、、

 小学校で数字がわからないと勉強についていけないんじゃないか、ひらがな書けないと困るかもしれないわと思われる方も多いと思います。以前にもお話したことがあるかもしれませんが、小学校や中学校は全て習う単元が決まっており、それを授業で扱わないということはできないルールなのです。

 したがって、数字がわかる子もひらがなを書ける子も、小学校にいけば一から習うことになります。そして幼稚園や保育園では、数字やひらがなを教えるのではなく、数字やひらがなに親しんで、学びたい、使いたいと思う意欲を育むことが求められています。

 「それでも、、、」とか「馬鹿にされないかしら」と思われる方もいるかもしれませんね。そうした不安がある方がいらっしゃって当然です。もしご心配ならば、自分のお名前程度はひらがなで書けるようになると安心かもしれません。また、数字で言えば、自分の年齢くらいまでは実感できるといいと思います。

 どういうことかと言いますと、1から100まで数えられる子でも、「あなたのお名前何文字?」と聞くとわからなくなってしまう子がいます。ひらがなも同じです。例えば、ひらがな書ける「あさいひろし」くんに「名前に【あ】がある人」と問いかけても、気づかない場合があります。もしくは、「僕、【あ】あるよね?」と尋ねたりします。つまり、読める、書けると実際に理解して使えるものは違うかもしれないということです。ですので、ちょっとお手伝いしてほしいときに、「コップ3つ持ってきて」とか「お菓子は6個までね」とお話してみるといいですね。

 もちろん、幼稚園でもひらがなや数字に触れ、気持ちが向くように各学年で取り組んでいきますので、ご家庭の方と一緒に、楽しく文字や数字に触れる機会を増やしていけたら幸いです。

 

〇入学や進級で新しい環境になじめるかしら?

 このご心配は、どのご家庭の方もお持ちだと思います。子どもに限らず、大人でも新しい環境に変わるときは心配ですし、ストレスがかかります。でも、期待もありますよね。

 新しい環境になじめるか否かは、お子さんによるところが大きいのが現実です。もちろん、小学校の先生方もサポートしてくださいますので、過度な心配はいりません。

 環境の変化に限らず、お子さんが不安な気持ちになることはたくさんありますが、大事なのはそれを見守る大人が、子どもの気持ちに同調しないということだと思います。心配や不安は容易に伝染するため、大人の心配や不安はお子さんにもすぐに伝わります。そうすると、ただでさえ心配で不安なお子さんが、より一層心配な気持ちに陥ってしまう可能性があります。とは言え、突き返すのもよくない場合があります。

 大切なのは、大人は凛とした態度でいること、そしてお子さんのお話をよく聞いたうえで、「大丈夫、あなたならできる」と背中を押してあげることだと思います。

 

〇給食、食べてますか?苦手な物が多くて、、、

 食べ物に苦手な物があるのは、ある意味仕方のないことです。子どもの舌は大人よりも敏感なので、大人が美味しいと思っても「辛い」「苦い」と感じるのです。私も含め苦いものを美味しいと感じる方もたくさんいらっしゃると思いますし、大人になったら食べられる物が増えたという方もいらっしゃると思いますが、残念ながらそれは舌の老化です。まぁ、美味しいと思えるものが増えたのですから、老化もたまにはいいものです。

 それでですね、保育業界では食に焦点を当てて、食育というものを推進してきました。その中で、どのようなものも美味しく食べようと工夫がなされてきましたが、それでも苦手な物は仕方ないので、別の食材で栄養を補おうという風潮が強くなってきました。食事というものの第一の目的は栄養摂取なので、それができないよりは、別の食材でという発想になるわけですね。

 しかし一方で問題も起こってきました。それは、味に鈍いという問題です。人が味を感じるのは、身体を守るためでもあるわけで、例えば、すっぱさは腐っている物を判別する基準ですし、からさは毒などの刺激に対する反応になります。人の口の中は、体内でも特に敏感な部位なので、摂取するものが体に害がないかどうかを判断する大事な役目を担っています。しかし、偏った食べ物だけ食べていますと、それ以外の食べ物に対しての反応が鈍くなってしまう可能性があります。そのため、乳幼児期にはいろいろな食べ物を薄味で食べておく必要があるとも言われていますね。

 じゃあ現実的には、どうしたらよいのか、大変難しい問題です。正直に言って、私も模索中ですので、現状をお話しします。

 子どもたちには、本当に苦手で食べれないと言っている子もいれば、遊びたいから食べたくないと言っているように思われる子もいますし、かまってほしいから食べれないと言っていると思われる子もいます。それぞれ、理由が違うように思えるのです。そのため、私は子どもたちの様子を見ながら、「5口食べてみようね」とか「何口頑張れる?」等と少しだけでも食べてみようと進めています。そうすると、子どもたちは「頑張って食べたよ」と教えてくれます。食べられたことを褒めてあげて、「残りはどうする?」と問いかけます。すると頑張れる子は「あとちょっと食べる」と言いますし、難しいという子は「やめとく」と教えてくれます。他にも「見に来て」とか「食べさせて」とか交換条件を出されますが、その子に合わせて答えています。そうすると、時間はかかりますが、意外と食べられる子が多いように思えます。

 このようなことを踏まえて、私は「食べられる―食べられない」のも大事ですが、「食べられないもの」をどうしたらいいか、苦手なものをどうしたら食べようと思えるか、どのくらい食べたらいいか、という判断を、自分で決められるようになれるようになってほしいと願うようになりました。

 「どのくらい食べたらいい?」でなく「これは全部食べるけど、こっちは半分にしておく」とか「食材を作ってくれた人がいる、ご飯を作ってくれた人がいる、幼稚園まで運んでくれた人がいる、だから苦手だけどちょっとだけは食べよう」と自分で決めていけるといいと思うのです。小学校では、おそらくそうしたことは自分で決めなければならないと思います。そうした繋がりもありますので、今は子どもたちと一緒に「これくらいなら食べられるかな?」とその子なりの判断基準を定めているところです。そうしていくうちに、「全部食べれたよ」「ご飯は全部食べるよ、スープは少なくていいけど飲みたいよ」といろいろな食材を美味しいと思って食べられるようになるといいなと感じています。

 

 今年最後ということで、ずいぶん長い文章になってしまいました。上述させていただいたのは、私がこれまで学んできた知識と子どもの捉え方をもとに、今の経験を踏まえた考察になります。必ずしも、上述した内容が正しいということはないかと思いますが、皆様の子育ての一助となれば幸いです。

 今年もいよいよお終いですね。来年はどんな一年になるのでしょうか。今からとても楽しみです。

 一年間、大変お世話になりました。また来年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

 皆様、よいお年をお迎えくださいませ。

 

愛隣幼稚園 

浅井 広