【行事って楽しいもの】

【行事って楽しいもの】

 

 皆さんこんにちは。

 うだるような暑さとは、まさにこのことですね。ホントに暑すぎです。

 

 さて、夕涼み会は終わってしまいましたが、まだまだ夏休みは始まったばかり。これからも子どもたちにとって楽しいことはたくさんありますね。幼稚園でもおうちでも、元気いっぱい、たくさん遊んで、ぐんぐん成長してほしいです。

 2学期は行事が目白押しになりますので、少し早いですが園の行事について今回はお話していきたいと思います。

 というのも、愛隣幼稚園は比較的園行事が多い幼稚園ですが、その多くがちょっと変わったというか、独特であるとともに、行事も大事な保育・子どもの成長の一環ということを知っていただきたいからです。以前にも行事についてお話したことがあると思いますが、重複している部分はご了承ください。

 

 まず「行事」とは、非日常のことをさす言葉とその活動のことです。ずっと昔、日本がお米を作って山で狩猟採集をして生計を立てていたような時代は、貧しい生活を耐え忍んで、その我慢を発散した日がいわゆる「祭」という行事でした。なので、「祭」はお米を食べてお酒を飲んで、お肉を食べて、どんちゃん騒ぎができる特別な日だったのですね。加えて、季節の変わり目を祝う「節分」、野菜などの収穫を祝う「収穫祭」、子どもの成長を祝う「端午の節句」や「ひな祭り」、「七五三」、これらの一つ一つに意味があり、すべてが生活と結びついた特別な日でした。

 「遠足」という行事も、平和になった江戸時代の人たちが、お伊勢参りに行くことを遠足と呼んでいたことに由来するらしいですよ。江戸時代の人たちにとって、一生に一度は行ってみたい場所が伊勢だったそうで、ある意味遠足は一生に一度の大イベントだったんでしょうね。

 「発表会」も江戸時代に時間と余裕ができた人たちが習い事をはじめて、その成果を人前で披露したいということから始まったそうです。

 「運動会」は軍隊に入るための学校で行っていた行事を、初代文部大臣が小学校等にも取り入れたことから始まっているそうです。だからいまだに整列して入場したり、集団でおこなうような競技が多いんでしょうね。

 

 このように今では1年中行事が盛りだくさんなわけですが、現代においても行事は特別な日であるものの、その意味合いは薄れてきているように思います。そうして無くなりそうな行事を吸収し、日本人の文化を継承しながら、行事を通して子どもたちを育んでいこうという取り組みが、幼稚園の園行事となっていったと考えられます。ただし昨今では、それらの行事で溢れかえって本来の保育が行えないことが問題視されています。つまり、運動会のためにたくさん練習したり、お祭りの度に何かしらの制作や発表があったりして、その練習に時間が割かれて、子どもたちの遊びを中心とした保育ができないという問題が各園で起こっているのです。

 そのような中、愛隣幼稚園に目を向けてもたくさんの行事があります。ただ、愛隣幼稚園が独特な点と言えば、子どもたちの遊びから行事を組み立てていくところと、練習をしすぎないというところだと思います。

 どういうことかと言いますと、一般的には行事はある程度することが決まっていますので、その活動に子どもを合わせていく形になります。なので、練習が必要になります。一方愛隣幼稚園は、子どものしていることやしたいことを行事に入れていきます。そのため、普段していることやしたいことを行事で行うことになります。その結果、無理な練習をしないということに繋がっていきます。

 この一番の利点は、子どもが「やらされている」と思わないことだと思います。誰だって特別な日に無理やりやらされたことをしたくないですよね。純粋に楽しみたいじゃないですか。行事はもともと楽しいもののはずですが、現代の保育業界では、大人の目を気にしすぎて見栄えを重視しすぎる傾向も問題視されているんです。

 保護者の皆様にとっては、子どもたちの様子や成長を見られる日なので、子どもたちがすごいパフォーマンスをしたら、それは嬉しいことと思います。ですが、その反面、その日のために子どもも保育者も必死になって努力して、時に保育者は子どもに怒り、子どもは怒られ、お互いに嫌な思いを少なからずしている現状もあるのです。では、なぜそこまでして行事をしなければならないのか。子どもたちに聞いてもたぶんわからないですね。保育者は他の先生方や保護者の方々、地域の方などの評価を気にされているからでしょう。そう考えると、もはや誰の何のためにしている行事かわかんないですよね。もちろん、そうやって頑張ってできるようになったことを人前で披露して、自信につながっていくという成長はあると思いますが、それなら無理に行事でやらなくても良いわけです。

 

 純粋に行事だけを楽しみ、その過程を通して子どもたちが自然と育っていくのを援助していく、それが愛隣幼稚園の園行事ということが言えるのでしょうね。その分、失敗してしまったり、緊張して動けなくなってしまったりと微笑ましい姿もあると思いますが、それが子どもの本来の姿なのです。そして、行事というのは通過点でしかありません。その時は上手くいかなくても、練習では上手くいっていたとか、次の日は上手にできたということも当然あります。もちろん、その逆も。そのような子どもの姿を、普段の保育と行事を通して応援してあげていけたらと思います。

 

 浅井 広