【実体験から学んでいく】

 【実体験から学んでいく】

 

 皆さんこんにちは。

 今年も終わりに近づいてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 これからクリスマス、お正月と子どもたちにとっては楽しみな行事がたくさんありますね。きっと、あと何回寝たらと楽しみにしてることでしょう。

 

 今回は子ども時代の実体験の重要性についてお話させていただきたいと思います。前にも書かせていただいたと思いますが、私が最近学んだことを踏まえて改めて書かせていただきたいと思います。

 突然ですが、皆さんは「ありがとう」という言葉をどうやって覚えましたでしょうか?私は全然記憶にありませんが、気付けばありがとうと感謝の気持ちを伝える言葉を使えるようになっていました。

 きっと、周りの大人たちの言葉を真似したり、何かをしてもらった時に「ありがとうっていうんだよ」と大人たちに教わって覚えていったのだと思います。それが一般的だとも思います。

 ただ、保育の勉強するなかで、どうして大人が「ありがとう」を子どもに求めるのだろうと疑問を持つようになりました。もちろん、ありがとうという言葉は人間関係においても大切なので、言わないで良いとか教えなくても良いというものではありません。しかし、大人が遊んでくれたから「ありがとう」を言おうねとか、大人が何かをしてくれたから「ありがとうは?」と求めることは、子どもが「ありがとう」という言葉の意味を学ぶ方法としては、順序が逆なのではないかと思うのです。

 つまり、概念的に感謝の気持ちとしての「ありがとう」を教えた後に、子どもが実体験を通して「ありがとう」ってこういう意味なのだと学ぶのではなく、感謝の気持ちがいっぱいになってその思いを相手に伝えたくなり、「ありがとう」という言葉があることに気づく方が子どもの学びに適しているのではないかと思うのです。

 

 「ごめんね」も同じです。何か大人の判断でいけない言動をした時、大人は子どもに「ごめんね言おうね」と謝ることを優先します。でも、当の本人は納得できていなかったり、悪いと思っていなかったりもします。そのため、何がいけなかったのか分からないまま「ごめんね」を言い、誤った解釈をしたまま育ってしまった子は「ごめんね」を言えば許される、「ごめんね」を魔法の言葉と誤解してしまうのです。

 

 きっと皆さんのお子さんにも、「ごめんねっ!!」と語尾を上げて謝る姿が一度や二度はあったのではないでしょうか?大概こうした時、子どもは悪いと思っていないですよね。それもまたかわいい姿ですが、「ごめんね」したからもう勘弁してという子どもの切実な思いも同時に伝わってきます。

 でも、子ども同士のトラブルが起こった場合、「自分が悪いことをしてしまった」と思いながら過ごすことはとても気持ちが悪く、モヤモヤした気持ちのまま過ごさなくてはならなくなってしまいます。あんなに楽しみにして「やりたい!」と思って、言い方が悪いですけど、勝ち取った三輪車も、相手が泣いているとか「悪いことしたな」と思っている中では、面白みがなくなってしまうのです。だから、謝った後は急に譲り合ったり、二人で使い始めたりするのだと思うのです。特に幼い子どもは自分のモヤモヤ感を晴らす意味も含めて「ごめんね」を言いたくなるのではないかと思います。年長さんくらいになると、「ごめんね」を言いたい理由がまた変わってくると思いますけどね。

 

 数字や言葉、ルール等も同じだと思います。大人はついつい先に概念を教え、その概念に子どもを当てはめようとする傾向があるのではないでしょうか。こうやって遊ぼうね、それがルールだから、こうやって書かないといけないよと教え込まれた子どもたちは、「どうして守ったり、教わったりしなければならないの?」と疑問に思った時、どうやって解決するのでしょう。

 数字があると比較ができる、言葉があるとその場にいない人に思いを伝えられる、ルールがあった方が面白く遊べる等、子どもが実体験を通して感情を持つことから子ども学びが始まるのではないでしょうか。

 

松山東雲短期大学 保育科

講師      浅井 広