【子どもの遊び】

  【子どもの遊び】

 皆さんこんにちは。

  新年度が始まり2ヶ月が経ちました。だんだんとお子さんたちも新しい園生活に慣れ始めた頃ではないでしょうか?新しい友達ができたり、学年が上がったことを誇りに思ったり、新しい遊びを始めてみたりと、昨年とは違った色々な姿を見せてくれていることと思います。

 

  大学においても新入生は次第に大学生活に慣れ始め、少しずつ緊張感がほぐれてきました。また二年生は、今月二週間の教育実習があり、保育現場で子どもたちや先生方から実践的に保育を学んできました。この実習を終えるとたいていの学生たちは大きな成長を遂げます。本人たちはあまり気づいていませんが、外から見ていると「保育者になる自覚がでてきたな」、「子どもたちの成長を捉えられるようになったな」とその成長ぶりがよく見えるものです。

 

 そのような学生たちが実習中に一番楽しいと感じているのは、やはり子どもと遊ぶことのようです。子どもも大人も、遊ぶということは好きなんですよね。

 

 では、そもそも【遊び】とはどいう活動を指しているのでしょうか?例えば、砂遊びやままごと、折り紙に縄跳び等、名前の付けられているような分かりやすい遊びは、幼稚園でもご家庭でも散見されるでしょう。一方、部屋の扉を少し開けて自分が通れるかを試してみたり、流れている水をせき止めてみたり、同じ場所をグルグルと走ってみたりと、名前の付けにくい、大人からすれば「何してるの?」と尋ねたくなるようなことも子どもたちはよくしています。確かに楽しそうにしているので、「遊んでいるのかな?」と思いますし、もしくは「はしゃいでいるのかな?」とか「何か嬉しいのかな?」とも思います。でも、こうした名前の付けにくい活動も子どもたちにとっては【遊び】の一環であることが多いのです。

 

 【遊び】という行為については、長年、様々な研究者によって定義づけられてきました。「こうした項目に当てはまる行為が遊びだ!」といろいろな研究者が言ってきたわけですね。概ねどの研究者も似たような定義をするわけですが、私はそうしたいろいろな研究者の定義の中から、学生には遊びを以下のような活動であると教えています。

 

(1):遊び手が自ら選んで取り組む活動

(2):遊ぶこと自体が目的となる活動

(3):その活動自体が、楽しいとか喜びといった感情に結びつく

(4):自ら進んでその活動に参加しなければ、味わうことができない活動

 

 (1)はそのままの意味で、遊ぶ人が自由に選択できる環境の中から自分で選んで行うものであるということです。つまり、誰かに言われてしていることや他に選択肢がない中で選んでいるものは遊びではないということです。「これで遊んでなさい」とか、「○○遊び」と大人が優しい名前を付けて活動を決めているものは、そもそも遊びではないということです。

 

 (2)はとても重要なことです。遊びは遊ぶこと自体が目的であって、他に目的を持たない活動ということです。やりたいからやっている、ただそれだけのことなのです。言い換えれば、字が書けるようになるためにとか、外国語が話せるようになるために、記憶力がよくなるためにといった、何か別のことを目的とした活動は、本来の遊びではないのです。本来は、楽しく遊んだ結果、字が書けるようになったとか、外国人と話してみたいという気持ちが芽生えたとか、絵本の物語を覚えられるようになったという成長がついてくるものと考えられています。今の日本の保育は、生まれて数年しか経たない子どもに、あれやこれやと無理をさせているのが現状で、それをよしとしている風潮が残念でなりません。しかもある一定の分野以外では早期教育は意味がないともいわれてもいるのにです(まぁ、同じ保育料を払っているのなら何か教えてくれた方がよいと思う保護者の方の気持ちもわからなくはありませんが、本当にその子の成長、現在、未来を思うのであれば、、、)。子どもが進んでやりたいのならまだよいと思うのですが、自分がさせられたら絶対嫌だと思うようなこともさせているときがあります。将来のため、子どものためという気持ちはわかりますが、愛情の注ぎ方が違う気がするんですけどね。

 

 少し話がそれましたが、(3)は遊びという活動が快の感情に結び付くということです。楽しい!嬉しい!そういう活動が遊びなのです。

 

 (4)は、自分から行うことでその遊びを体験するということです。やりたくない気持ちを持っていたらいくら楽しい活動でも全然楽しくありませんよね。自分でやりたいと思って始めることが遊びには大切なのです。

 

 こうしてみてみると、子どもたちの遊びには名前の付けやすいものや付けにくいもの等いろいろありますが、子どもが自ら行い楽しそうにしていることは、だいたい遊びなのです。そして、その遊びを継続してすることによって、いろいろなことを遊びから子どもたちは学んでいきます。体の使い方、人間関係、言葉、自己表現の仕方、物の使い方、自然の不思議さ、命の尊さ等々、遊びが教えてくれることは数え切れません。

 そうした学びが、小学校に進級すれば国語や生活科、音楽、算数、図画工作などの科目になりますし、高校に行けば理系文系、大学に行けば専門分野とより詳しくなっていくわけです。

 幼児期は生きていくための基礎、土台を築く時ですので、思いっきり遊んで、遊びからたくさんのことを学んでほしいですね。

 

 

松山東雲短期大学 保育科

講師      浅井 広