【いよいよ小学生】

 【いよいよ小学生】

 

 皆さんこんにちは。

 3月は幼稚園でも大きなイベントの卒園式がありました。3年間という長いようで短い時間を過ごした子どもたちは、入園時では想像できないほどの成長を遂げて小学校へと羽ばたいていきます。

 卒園を迎えた子どもたち、そしてその成長を共に喜び支えてこられた保護者の皆様に心よりお祝い申し上げます。

 

 さて、幼稚園を修了しても子どもへの心配は尽きないものですよね。小学校に馴染めるか、勉強についていけるか等々、心配事をきりがないかもしれません。子どもたちも小学校への期待がある一方で、「お友だちができるかな」、「先生は優しいかな」、「勉強できるかな」ときっと不安に思っていることもあるでしょう。

 私も幼稚園から小学校へ就学する際に、「勉強できるかな」と心配に思っていたことを覚えています。なにせ平仮名も曖昧でしたし、算数もできませんでしたので、小学校のみんなが平仮名書けたらどうしよう、算数できたらどうしようと、人知れず不安を抱いていました。

 もちろん、小学校では平仮名も漢字も足し算、引き算も習うわけですので、私の不安はすぐに消えたわけですが、何事も始めるまでは色々と考えてしまうものです。

 

 私が小学校に入学した時とは時代が少し異なりますので、子どもたちの心配も私の時とは少し違うのかもしれませんね。保護者の皆さまの心配も、もしかしたら変化してきているかもしれません。今は小1プロブレムという言葉も一般的になりましたので、「うちの子、授業中に座っていられるかしら?」、「先生の話、ちゃんと聞けるかしら?」、「クラスから浮いてしまうんじゃないか」と、情報が多くなると気になることも増えるものです。

 

 ということで、今回は簡単に幼稚園と小学校の接続についてお話していきたいと思います。

 幼稚園を卒園する年長さんですが、幼稚園では最年長児ということで保育者からの信頼も厚いですし、子どもたちもお兄さんお姉さんとしてかっこよく、かつ自覚をもって生活してきました。保育者からすれば年長さんは頼もしく、「小学校でも大丈夫だよ」という思いをもって送り出すことでしょう。もちろん、子どもらしさはありますけどね。

 一方、小学校の1年生となると感覚的には「赤ちゃん」のような扱いとなります。幼稚園では一人でしてきたことも小学校6年生のお兄さんお姉さんが手伝ってくれたり、先生たちも子どもたちが小学校の生活に慣れられるようとても丁寧に教えてくれたりします。つまりは、子どもたちへの対応に差が生まれてきていたわけです。

 

 幼稚園においても保育園においても児童要録という書類があって、幼稚園や保育園の先生たちは全卒園児の記録を作って、一人ひとりの引継ぎを小学校の先生としていきます。そうした取り組みは今までも行われてきましたし、今は一層「接続」ということがピックアップされていて、小学校の先生たちも幼稚園、保育園の子どもたちについて研修等を通して学んでいます。それでも、上手くいかないこともあります。

 

 そのような中で、幼稚園や保育園、小学校の先生たちの意識を変えて、一連の流れとして、子どもたちの成長を一本の線のように捉えて子どもを育てていきましょうということになりました。具体的には、卒園時における幼稚園や保育園の子どもたちの様子(幼稚園や保育園で育てていきたい姿)と入学時の子どもたちの予想される姿を一緒にしました。言い換えれば、幼稚園、保育園のゴールと小学校のスタートを一緒にしたわけです。そうすることによって、小学校へ進学する際の子どもたちの負担を減らし、接続を円滑にするという目的があるわけです。「えっ、そんなこともしてなかったの?」と思われるかもしれませんが制度として始まるのは今年からで、いままではそれぞれの幼稚園、保育園、小学校によって、あるいは先生一人ひとりによってなされていたのです。

 

 また、ゴールとスタートを一緒にすることには、幼稚園や保育園で育てていきたいことと小学校で育てていきたいことを分けて、幼児期には幼児期に育てたいことをしっかり育てましょうという意味もあります。

 これは、早期教育を取り入れた園が普及しすぎて、小1プロブレムという問題として現れ始めたことにも影響を受けていると思います。小1プロブレムは今に始まったことではありませんし、小1プロブレムの原因は様々指摘されています。しかし、小学校で教える内容が決まっているなかで、幼稚園や保育園でそれを教えてしまうと重複してしまうわけです。しかも子どもたちは一度習ったことを初めからやり直すわけですので、「もう知ってる~」、「やりたくな~い」という子どもも出てくるわけです。もちろん、小学校の先生も困ってしまいます。一方で、幼稚園や保育園で学んでいてほしかった「時が経つのを忘れて何かに没頭する経験」や「お友だちとけんかをしながらも、お友だちと一緒にいたいという気持ちをもつ経験、「こんなこともできるようになったんだよと自分に自信を持つ経験」等が欠けてしまっている状況も生まれました。こうした経験から得られる成長を難しい言葉で言うと「非認知能力」と言います。これらが小学校、そしてそれ以上の人生において重要になってくるのですが、それについてはいずれまた。

 

 話が少し脱線してきてしまいましたが、保護者の皆さんに知っておいてほしいことは、まず、幼稚園や保育園と小学校の先生とで子ども一人ひとりの受け渡しをしっかりと行っているということです。次に愛隣幼稚園に通う子どもは、遊びをたくさんしています。遊びの中には非認知能力を育む要素がたくさんあります。そうした経験を土台に小学校も楽しく通えば、子どもたちはそれぞれのペースでこれからも成長していくということです。そして最後に、これまでと同様に子どもたちに愛情を注ぎ、子どもを信頼していけば、子どもたちは自分たちでちゃんと成長していくということです。

 新たな旅立ちを温かく見守りながら、支えていってあげたいですね。

 

 

 

 

 

松山東雲短期大学 保育科

講師      浅井 広