【幼稚園教育の基本?】①

 前回のお話の中で、幼稚園が学校であることと、幼稚園で行う教育について説明している「幼稚園教育要領」があることをお話ししました。今回は「幼稚園教育要領」についてもう少し詳しくお話していきたいと思います。

 「幼稚園教育要領」には、幼稚園ではどのように保育をするべきなのか、幼児・幼児期にはどのようなことが大切なのかが示されています。では、どのような事が書かれているのでしょうか?たくさんのことが書かれていますので、今回はその一部をお話したいと思います。 

 

 【幼稚園教育の基本】―幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うもの―

 【幼稚園教育の基本】に記されている「幼児期の特性を踏まえ」という部分はその言葉の通り、子どもたちの成長に寄り添ってという意味です。言葉で言えば簡単なことですが、それが実は難しいのです。だからこそ、一番大切なポイントとも言えます。

 それでは、子どもの成長に寄り添ってとはどういうことなのでしょうか?まずは、子どもをよく見て欲しいということです。そして、「大人の思い願い」を無理に押し付けないでということです。

 誰でも色々なことができるようになるためには、それぞれの段階を踏んでいきます。例えば私たち大人も、20代に任された仕事と30代に任された仕事、40代で担う仕事は異なると思います。これは、経験や技術、情報等を積み重ねた結果と言えます。教育的に言えば、『成長』です。

 子どもたちも同様で、いきなり「我慢しなさい」とか「これを覚えなさい」、「これをやりなさい」と言われても、成長に合っていなければ難しいのです。保護者の皆さんも先生も、子どもに「こうなってほしい」とか「こういうことをしておこう」という願いを抱きますし、多くの子どもたちは、大好きな人が喜んでくれると思ってそれに応えようと頑張ることでしょう。それはとても大切なことです。しかし、子どもたちにだってやりたいことがありますし、できることとできないことがあります。あまりに難しいと諦めたくなりますし、それが叶わないと分かれば一生懸命拒否しますよね。泣いてみたり、くずってみたり、暴れてみたり。頑張ることを長く続けることもまだまだ難しいですね。子どもは大人のように割り切ったり、別の方法を見出したり、もしくは断わったりすることが簡単にはできません。だからこそ、そのできる範囲で目一杯「イヤ!」をアピールしているんですよね。

 ということで、保育ではまずは子どもの育ちをよく見て、それに合わせて援助をしていくことを大切にしています。子どもたちに無理を強いるのではなく、子どもたちがやりたいことを利用して育てていこうということなのですね。

 その具体的な方法として、幼稚園教育では「遊び」を取り入れています。子どもたちが遊ぶ中で、必要に応じて先生たちは援助をしていきます。なぜ遊びなのかと言われると色々な理由がありますが、子どもたちがやりたいこと=「遊び」だからと答えることが一番わかりやすいかもしれません。遊びとは何か、遊びで何を学ぶのかという話を始めるときりがないので今回はやめておきますが、子どもたちが自分から行い、他の目的(~~ができるようになる等)を持たず、楽しいとか嬉しいと思えるような活動は、やっぱり「遊び」ですよね。やりたいことをしていく中で、たくさんのことを学んでいけるなんて素敵じゃないですか。

 このように、遊びを中心とした生活の中で子どもの成長に合わせ援助をしていくことが、「幼児期の特性を踏まえ」ということなのです。大人の目線で子どもを見るのではなく、子どもの目線に合わせて子どもを見ていくことが保育の基本なのですねー。

 

 今回お話しする予定だった幼稚園教育の基本「環境を通して行うもの」に関しては、別にお話させていただきたいと思いますので、よろしければご覧ください。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

松山東雲短期大学保育科

講師    浅井  広